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 PBL型教育(Project Based Learning)はアクティブラーニングの一形態で、実践的な課題解決に取り組むことで学びや気づきを得る形の教育である。

 Society 5.0時代の人材にはリテラシー(数理的推論・データ分析力、論理的文章表現力、外国語コミュニケーション力など )、 論理的思考力と規範的判断力、課題発見・解決能力、未来社会の構想・設計力、高度専門職に必要な知識・能力が求められる。

 産学協議会では、これらの能力の向上においてPBL型教育が重要だと考える。

実践的な課題解決に取り組み学びを得る教育の一手法

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PBL型教育事例

各大学で実施しているPBL型教育の事例をご紹介します。
​※2019年度のSociety 5.0人材育成分科会の活動として収集した事例です。

●小樽商科大学

「商大生が小樽の活性化について本気で考えるプロジェクト」

●福島大学他

「ふくしまキッズ博・ふくしまミニキッズ博」

●香川大学

「JR四国と四国4国立大学の連携による観光コンテンツの開発」

​●富山県立大学

「学生の『主体性』を引き出すFSP講座-企業人と創るキャリア教育プログラム-」

●愛知県立大学

「教養教育科目『キャリア実践』授業について」

●名古屋学院大学

「PROJECT&N」

●京都産業大学 

「O/OCF-PBL(オーシフピービーエル)

「企業人と学生のハイブリッド」

●関西大学

「プロジェクト型学習(航空業界)を知る(共通教養科目)

「吹田市との連携プロジェクト(共通教養科目)

●福山大学

「経済学部 地域調査」

「生命工学部海洋生物科学科①沖縄県伊平屋島養殖施設におけるシロギス養殖の検証②大型シロギス養殖に関わる実証性の検討」

●西日本工業大学

「日産自動車九州(株)との連携による実践課題解決を通じた学生の社会人基礎力の育成」

「3D 造型部」

●九州大学 ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター(QREC)

「Idea Evaluation」

●滋賀大学 データサイエンス学部

「データサイエンス実践価値創造演習:菓子ブランドの分析」

小樽商科大学 「商大生が小樽の活性化について本気で考えるプロジェクト」(通称:本気プロ)

1~4年対象

【概要】

小樽を中心とした北海道後志エリアの自治体や民間企業との協働の下で、中長期(3カ月~6カ月)の地域活性化プロジェクトの実践を通じて、地域の具体的な政策課題の理解を深めるとともに、大学での学びと社会・地域の諸課題を具体的に接続させることを目的としている。

学生がチームを構成して地域の諸課題について実践的に取り組み、地域の持続的な発展や活性化のための社会調査・社会実験・社会実装を目指す。また、その過程で学外の関係機関や市民といった幅広いステークホルダーとの交流を通じて、予め解が与えられていない現実の課題に対して自ら問いを立てて仮説検証する社会的思考力、多様な価値観を尊重して協働できる実践的なコミュニケーション能力を有する自律的な学修者(アクティブラーナー)を育成する。

【特徴】

期間 開講期(前期/後期)に縛られない柔軟なプロジェクト期間の設定(1〜6月/7〜12月)

「正課活動」、「学内/学外開催」、「地域課題解決」

【成果】

延べ履修人数459人(104プログラム実施)

配当年次を1年生としたことで、多くの学生に対して履修機会の提供が可能となった。等

【課題、企業等への要望】

年度単位で学生が入れ替わることによる継続性の低下。教育目的である大学とその活動を通じた具体的成果を求める地域との認識の差。

 

 福島大学他 「ふくしまキッズ博・ふくしまミニキッズ博」全学年対象〉

【概要】

東日本大震災後の原発事故による放射線の影響で、屋外で遊ぶことができなくなった子どもが増えている福島県において、子どもたちが体を動かし自由に遊べる環境づくりが求められている。この取組は、この目的に賛同する県内外の関係機関の協力の下、子どもたちがのびのびと遊ぶ場を提供する「ふくしまキッズ博」において、大学生が設計し準備する「創作あそびコーナー」の運営を行うもので、福島市内の国公私立大学が連携し、単独大学では実現し得ないPBL形式の教育プログラムとして、アカデミア・コンソーシアムふくしまの事業と位置づけて実施している。

この教育プログラムに参加することで、学生の課題探求力・解決力や情報受信力・発信力、つなぐ力、導く力が育まれることを企図している。また、福島県北部という同じ地域にある企業と大学が業態・設置形態を越えて連携して取り組むことで、相互の顔の見える関係づくりが推進でき、このことが新たな学生主体の共同活動を推進しやすい素地の形成に寄与しているという副次的効果につながっている。

【特徴】

期間 4/4~7/29

「正課外活動」、「学外実施」、「地域課題」、「民間企業連携」、「複数大学連携」、「企業からの企画」

【成果】

福島市内の大学生52名が参加した。

「ふくしまキッズ博2018」(7月29、29日開催)2日間で延べ20,000人が来場した。

【課題、企業等への要望】

震災復興に向けた取り組みとしてスタートした経緯から、時限付きで協賛する企業等が多い。等

​​学生事務局始動の様子はこちら    当日の様子はこちら

 

 香川大学 「JR四国と四国4国立大学の連携による観光コンテンツの開発」〈1~4年対象〉

【概要】

徳島大学、愛媛大学、高知大学とJR四国との間で、平成29年9月に四国の地域活性化を目的として、地域振興・観光振興・人材育成について連携協力する協定を締結した。協定を土台とし、各大学の学生が地域の資源を調査し、地域振興や観光振興の素材として付加価値付けを行い、地域に人を呼ぶ観光プランを提案し、JR四国がそのプランを基に旅行の商品化を行う。地域振興・観光振興の実践的な学習を通じて、地域活性化を担う人材育成をすることが目的である。

【特徴】

期間1年間

「正課外活動」、「地域課題」、「民間企業連携」、「複数大学連携」、「産学連携の協定締結」

【成果】

参加人数21名(平成30年度実績)

4大学からの各2件ずつの観光プランのプレゼンテーションについて審査。審査会で発表された8件の観光プランは、JR四国の旅行商品として発売を開始し、平成31年3月末から令和元年6月にかけて、ツアーが催行された。

【課題、企業等への要望】

学生の主体的な取り組みを目指し、教員の関わりを極力少なくしたが、学生のプラン検討状況にばらつきがあることから、教員の関わりをどの程度にするのかが課題であると考える。

JR四国と連携協力締結の様子はこちら

 

 富山県立大学 「学生の「主体性」を引き出すFSP講座—企業人と創るキャリア教育プログラム-」

〈1年生対象〉

【概要】

企業と協働するキャリア教育プログラムに取り組んだ。目指したのは、学生が「大学で学ぶ意義」に気づき、目的をもって日々の授業に取り組むという学生の「主体性」を引き出す「場」の創出である。

【特徴】

「正課活動」、「FSP講座」、「企業課題」

【課題、企業等への要望】

まず本事業への理解を学内で得ることである。そして参加人数の増加を願い、広報発信活動も続けていく。等

 

 愛知県立大学 「教養教育科目「キャリア実践」授業について」

【概要】

大学1、2年生の段階から企業の社会的使命や現場で行なわれていることを疑似体験することで、①視野を広げ、②世の中の動きを知り、③社会に出るために必要なスキル、能力、姿勢を自覚し(自分の強み、不足していることは何か?)、④それをベースに、大学時代に自分は何を学び、どう過ごすかを主体的に決定することを目的とする。

授業は、一般社団法人FSP研究会(Future Skills Project)*が開発した産学協同授業カリキュラムに沿って実施。

【特徴】

期間 4~7月

受講者の3分の2が1年生、残りがが2年生

「正課活動」、「企業課題」、「FSP講座」、「企業から講師派遣有」

【課題、企業等への要望】

企業関係者には講師の条件として経験年数等を要望している。(できれば入社後8年以上の方(概ね30~50才ぐらいまで))

 

 名古屋学院大学 「PROJECT&N」〈1~4年次対象〉

【概要】

高いコミュニケーション能力を有し、社会の課題を主体的に発見、解決できる地域を愛する良き市民、良き職業人を育成するために段階発展型カリキュラムの中で全学共通科目として現場重視の調査・分析・提案を行う課題解決型授業(PBL: Project Based Learning)を組み合わせて展開している。

【特徴】

4つの演習を開催(【まちづくり提言コンペ】、【地域商業まちづくり演習】、【歴史観光まちづくり演習】、【減災福祉まちづくり演習】)

「正課活動」、「地域課題」、「審査・表彰あり」

詳しくはこちら

 

 京都産業大学 

 ◆「O/OCF-PBL(オーシフピービーエル)」〈学部対象(1~2年次)〉

【概要】

「O/OCF-PBL(On/Off Campus Fusion-Project Based Learning)」とは課題解決活動を通じて実社会で必要となる心構えや能力を身につけるために設定された科目。大学での学び(On Campus)と実社会(Off Campus)での学びとを融合(Fusion)させ、年次進行型のプログラムにて体系的な能力伸長を図るもの。

【特徴】

学内(On Campus)だけでなく、学外(Off Campus)での活動が積極的に求められる。

「正課活動」、「長期」、「企業課題」

【成果】

経済産業省「社会人基礎力を育成する授業30選」(2014年度) 等

【課題、企業等への要望】

複数クラス開講における授業の質の担保(教員間の連携・情報共有)

学生の課題解決活動における課題提供機関の適度な関与(企業利益のためではなく教育の一環であることを企業に理解してほしい)

詳しくはこちら

 ◆「企業人と学生のハイブリッド」〈学部対象(2~4年次)〉

【概要】

企業の若手社員と学生とのハイブリッド(Hybrid:混成、融合)による、人材育成を目指した科目。企業の若手社員1名と学生3名が1つのチームになり、企業が抱える「リアル」な課題に挑戦。

【特徴】

「正課活動」、「企業課題」

【成果】

経済産業省「社会人基礎力を育成する授業30選」(2014年度)

【課題、企業等への要望】

企業担当者と学生の円滑なチームビルディング

安定的な連携企業の確保

 
 

 関西大学 

 ◆「プロジェクト型学習(航空業界)を知る(共通教養科目)」〈3年次以上対象〉

【概要】

スカイマーク社との共同授業で、短期集中で開講。航空業界が抱えている課題を、専門基礎を修めた上回生対象であり、異なる専門性を持つ学生らの協働的な視点で問題解決を試みるプロジェクト型学習を行う。

【特徴】

「正課活動」、「短期プログラム(1月間)」、「土曜日開講」、「学内開催/フィールドワーク」、「振り返り学習あり」

【成果】

本講義では学生の学習態度や思考の向上を目的とし、その効果を検証するため初回授業と最終授業に学習態度やキャリア意識の発達などに対するアンケートを実施した結果、効果がみられた。

【課題、企業等への要望】

企業との連携において本授業は現場を体験するフィールドワークを重要視している中、授業という曜日時間設定と企業の予定がなかなか合わずに苦労する場合が多い。

参照(文科省HPより:pdf中34ページ目)はこちら

 ◆「吹田市との連携プロジェクト(共通教養科目)」〈3年次以上対象〉

【概要】

大学が立地する吹田市が抱えている課題を、専門基礎を修めた上回生対象であり、異なる専門性を持つ学生らの協働的な視点で問題解決を試みるプロジェクト型学習を行う。

【特徴】

期間 平成30年度 9月~1月(毎週水曜日開催 計15回)

「正課活動」、「市と共同開催」、「市から課題提示」、「学内開催/フィールドワーク」

【成果】

本講義では学生の学習態度や思考の向上を目的とし、その効果を検証するため初回授業と最終授業に学習態度やキャリア意識の発達などに対するアンケートを実施した結果、効果がみられた。

【課題、企業等への要望】

企業との連携において本授業は現場を体験するフィールドワークを重要視している中、授業という曜日時間設定と企業の予定がなかなか合わずに苦労する場合が多い。

 
 

 福山大学 

 ◆「経済学部 地域調査」〈1~4年生対象〉

【概要】

能動的学習能力やコミュニケーション能力の向上、地域経済およびそれを支える地元企業への理解の向上と深化を目的。

「地域調査」は、地元企業との連携授業形式の演習である。地元企業側が提示する課題について、グループ分けされた履修学生が複数社員とともにディスカッションや現場調査などに取り組み、さらに本社での最終提案のプレゼンテーションの実施も取り入れた提案型授業である。

【特徴】

通年開講(前期2単位、後期2単位)

連携企業本社での最終提案のプレゼンテーションの実施も取り入れた提案型授業

「正課活動」、「企業課題」

【成果】

受講者数は逐年増加傾向。

能動的学習能力の向上を図ることができると確信している。

【課題、企業等への要望】

受講生の安定的確保

 ◆「生命工学部海洋生物科学科①沖縄県伊平屋島養殖施設におけるシロギス養殖の検証/②大型シロギス養殖に関わる実証性の検討〈4年生、大学院生対象〉

【概要】

①沖縄県伊平屋島のハタ類養殖施設において福山大学で開発したシロギス養殖技術が実証規模で展開可能かを検証する。将来的には数十万尾規模のシロギスを通年鮮魚で首都圏へ出荷する。

②大学が開発した大型シロギス養殖の技術を地元企業と連携して活用し、商品開発及びブランド化に取り組んでいる。活魚での出荷による高付加価値化が評価されている。

【特徴】

①②共通 京都大学、長崎大学が共同研究機関

     通年開講(6単位)

     「正課活動」、「学内/学外開催」、「複数大学連携」

 
 

 西日本工業大学

 ◆「日産自動車九州㈱との連携による実践課題解決を通じた学生の社会人基礎力の育成」〈4年生対象〉

【概要】

学生が日産自動車九州㈱の実務の一部を卒業研究で担い、社会人基礎力として不可欠なスケジュール管理意識の元で

課題解決に取組み、報告・連絡・相談、PDCAサイクルを回しながら、実践環境下で「人間力的な社会人基礎力」と

「技能的な技術者基礎力」の両面から社会人基礎力を培おうとするものである。

【特徴】

卒業研究として、取り組む。

学生・教員・企業実務家が連携。

「正課活動」、「企業課題」、「学内/企業で実施」、「教員/企業実務家による評価」

【成果】

共同研究成果を得ることができ、学生の社会人基礎力の育成と技術の実践ができた。

「日産自動車九州㈱との産学連携協定締結」等について、メディアに取り上げられ周知された。

【課題、企業等への要望】

現時点では、スケジュール記述フォーマットや進捗チェック頻度や報告会に関する定型化は出来てはなく各プロジェクト任せになっているが、手順やフォーマット等の標準化はこれからの課題として認識している。

 ◆「3D造型部」〈1~4年対象〉

【概要】

学生の3Dものづくり能力向上を最終目的として、学科や学年の枠を越えて3D造型部のメンバーとなり、3DCADの修得をベースに、NCフライス、レーザー加工機、3Dプリンタおよび未来工房の工作機械を駆使し「もの創り」を実践する。

【特徴】

一年を通じて開催

地域の人々とふれあい、コミュニケーション能力、協調性など社会人基礎力を育む。

「正課外活動」、「地域課題」

【成果】

企画には1か月以上かかるときもあり、学生は、ものを考える事の大変さを知り、出来る事のトレードオフと達成レベルを勘案をする能力が向上した様である。

【課題、企業等への要望】

企画で、大変苦労している。

対象とする年齢、イベントの楽しさ、製作時間、製作レベルの高さの検討、解決方法の効果の検討などを学生に課している。

洋菓子工房トリオレのコラボ企画について詳しくはこちら

豊橋市三毛門小学校でのイベントの様子はこちら

北九州市主催の女子中学生対象仕事体験プログラム「リケ女部!」の様子はこちら

 
 
 

九州大学 ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター(QREC)

「Idea Evaluation」

目的・ねらい

純粋な技術シードから商業化を検討する際に求められる経営学の体系理解とビジネス経験に加え、顧客接点、顧客体験、サービスなどのデザインの実践力を身につける。

対象

修士および専門職課程2年次

プログラム概要

権利化前の技術シードの価値評価を行い、商業化プロセスについて理論と実践をともに学ぶPBL型教育プログラム。
2段階で構成。大学発の技術シードを複数提示し事業化の価値を評価したのち、評価した技術シードを1つ選択し、より詳細な事業化検討を行う。潜在顧客へのインタビュー、マーケティング評価、ビジネスパートナーの模索など、実際の事業化のプロセスを疑似体験する。
投資家に対し事業化計画を発表し、評価・フィードバックを得る。

企業等との関わり方

福岡フィナンシャル・グループの協力を得て、九州域内の大学の技術シードの提供ほか、資金的、人的、施設的なサポートの提供を受けている。
最終発表の際には、ベンチャーキャピタリストが審査員として参加し、実用化に向けた的確な助言やフィードバックを得ている。

プログラムの成果

開始後これまで12件の技術シードのアイデア・エバリューエションを実施し、1件は投資家から本格的試作品作成の資金援助を得るほか、これを加えた3プロジェクトがPBL終了後も継続するに至っている。

 

滋賀大学 データサイエンス学部

「データサイエンス実践価値創造演習:菓子ブランドの分析」

目的・ねらい

これまでの学習機会で染み付いた「与えられた問題を解く」「正解のある問題を解く」はビジネスの世界では通用しないとの認識のもと、自ら課題を発見し、問題解決までの一気通貫での演習を行う。
学生に「課題発見こそが重要である」ことを意識づけるとともに、小さいながらもビジネスの世界でデータサイエンスを活用できる自信を養う。

対象

学士課程(学部)3年次

プログラム概要

2019年度から実施。「チョコレート4ブランドの売り上げ増に向けた提案」というテーマのみを提示し、学生は、自らの購買経験、クライアントへのヒアリングおよびデータから自ら課題を設計。プログラミングや統計学の手法により分析を行い、クライアントが満足する新たな販売施策を提案。

企業等との関わり方

インテージホールディングス等が協力。データ提供のほか、マーケティングやデータ分析の担当者を講師として派遣。
(インテージホールディングスと滋賀大学は連携協定を締結)

プログラムの成果

演習での分析結果について企業担当者を前で発表を行い、高い評価を得ている。本プログラムについてはメディアにもとりあげられ、日本経済新聞主催のデータサイエンスフェス2019において、学生3名が発表している。